喪する女

喪女による喪女喪女しいブログ

ユーリ!!! on ICE

最初に持ってくるにはある意味重すぎる作品だけれど、最近思ったこともあるのでつらつら。

 

 2016年10月より12月にかけて全12話放送され大きな反響を呼んだ話題作。

原案、キャラクターデザイン、脚本は「モテキ」の作者久保ミツロウ

制作会社は「神撃のバハムート GENESIS」でガツンと当てたMAPPA

 

物語はざっくり言えば引退を考えている日本男子フィギュアスケーター勝生勇利と、あるきっかけで彼のコーチをすることになった世界王者のヴィクトル・ニキフォロフが世界を目指す、というもの。

しかしそんなことはまず置いておいて一体何が話題になったかと言えば、この二人の異常な絡み具合。

わかりやすく言うとBL臭い、ということ。

 

BL臭い作品はたくさんあるし、そもそもBL作品そのものですらあるのにどうしてここまで受けたのかと言えば一つはがっつりフィギュアの世界を描いているということ。

話数によってはほとんど滑走シーンだけの回があったりするくらい滑りまくる。

ここでちょっと話が逸れるけど、フィギュアスケートには大きく分けてTES(技術点)とPCS(構成点)といった採点がある。

私自身採点方法をちゃんと理解しているわけではないけど、TESはジャンプとかステップまさに技術面のこと、PCSは音楽に対しての表現力と捉えている。

ユーリはPCSに焦点を合わせて作られているため(実際作中もそういう作戦でいくと言っている)スポコン漫画によくある練習シーンというものがない。

もちろん練習している画はあるが、さらっと流れる程度で滑走中の描写も技に重点を置かず、その時々の心情を大事にしている。

なので、不思議と同じプログラムで滑っていても全く違うものに見えたりする。

主人公なのに中々厳しい点数をつけられたりと本物のフィギュアを観ている感覚になり、いつの間にか勝生勇利選手を応援していたりする。

 

二つ目は男同士の絡み。

私がアニメで初めて驚きで声を出したのがこの作品。

今でも衝撃で話数も覚えている、伝説の第七滑走。

勇利がヴィクトルを驚かせた演技にヴィクトルはその上を行く驚きを与えようとリンクに飛び込みそのまま勇利にキス。したように見えた。

実際したのかしていないのかはわからないアングルではあったが、当時Twitter2ちゃんねるではした、していないで大混乱だった。

原案の久保ミツロウ氏曰く「ご想像にお任せします」とのことで、そこは観ている人に決めてほしいといったようなニュアンスだったと記憶している。

が、私はあの流れだとキスはしただろうなとひっそり思っている。しかしこれはまたした、していないの水掛け論になりそうなのでここまでで。

その後二人は迷走に迷走を重ね、ペアリングやら教会で指輪交換やらやらかすわけだけど、7話のディープインパクト後では普通に受け入れてしまった。

ちなみにこの問題のシーン、まさかのミュージックステーションで流されるというとんでもないことをテレビ朝日までもがやらかしたこともネットを騒がせた。

 

そして三つ目、これが一番の原因であろうと推測。

題材がフィギュアスケートだから。

は?と思われるかもしれないが恐らくフィギュアスケート界隈を知っている方はユーリをタブーに切り込んだ作品だと思っていることだろう。

何故ならフィギュアスケートオタク、通称スケオタは近年類まれなる過激派集団だからだ。

お暇な方は2ちゃんねるを適当に巡回してみてほしい。とにかく選手のアンチスレが多い。アイドルや政治家なんかよりも群を抜いて多い。

私もこの作品に出会うまで知らなかったのだけど、スケオタは一人の選手を推す人が多く、その選手を愛するが故に他選手は敵と見做すよう。

もちろんそうじゃないスケオタもいるが、そういう方々はスケオタというよりかはファンと称するのが適していると個人的には思う。

ここでのスケオタは過激派を指すことにする。

スケオタはとにかく他選手の批判が凄い。選手だけではない、スケオタ同士憎み合っていると言っても過言ではない。

それどころか同じ選手のスケオタ同士、所謂同担拒否までする。

ここまで読むと一体何だったら許されるんだと思われるかもしれないが、きっと何でもフィギュアスケートに関することには拒絶反応が出るのではないかと推測する。

 

そんな中、ユーリというフィギュアスケートのアニメが出てきたら……お察しの結果である。

ユーリが話題になったのは何も称賛されてだけのことではない。批判の声も多くそして大きかった。

2ちゃんねるでもアンチスレが当時3、4個立っていたと思う。オリジナル物の1クールアニメでは中々にない現象だと思う。

ユーリは実在するフィギュア選手をモデルにしていること、そのキャラ達にBL紛いの言動をさせていること、背景の無断トレス疑惑があったことなど、叩きたい人には絶好の餌がたんまりあった。

特に背景トレスはやはり問題があったらしく、第一滑走のヴィクトルの部屋はDVD、BDでは差し替えられていた。

こういった差し替えは実はアニメでは良くあることだが、アンチにとってそんなことは全く関係なく一種の祭状態になった。

 

そうした中、私は映像美と音楽の美しさと耽美系を匂わせるBLっぽさが胸に刺さり、人生で初めてアニメの円盤を購入してしまった。

特に全巻購入特典の漫画に釣られて買ってしまったのだが、つい先日この特典漫画が誤配布されてしまうという事案が発生した。

どうも店員がフリーペーパーと間違えて店先に置いてしまったようだが、それを知った全巻購入予定だった人達が大爆発した。私もした。

普通こういう特典についてくる漫画というのはそれなりの冊子になる程の厚みである。

決してフリーペーパーと間違う程ペラペラな物ではないはず。

もちろん円盤には本編が収録されておりそれなりのオーディオコメントやらおまけ映像がついていたりする。

けれど、全巻購入を決めた人はほぼほぼおまけ漫画が目当てで全6巻、約5万円突っ込んだはず。

とは言っても私は実のところユーリ熱は大分冷めていて、この5万円を別のアニメに貢げばよかったかもとぼやく程度で終わった。

でもなんだかんだ映画は観に行くと思う。

 

総評:本編も公式も色々爆弾を抱えている作品。一人で夜中にこっそり観たい。